幹細胞コラム

そうだったの?!幹細胞のデメリットをわかりやすく解説

幹細胞コスメや幹細胞エステ、幹細胞美容外科手術など、幹細胞から抽出された培養液や自身の幹細胞を使ってできるアンチエイジング効果がすごい!ということで「幹細胞」が今とても注目を集めています。

幹細胞コスメは幹細胞そのものではなく、幹細胞培養液を使用しているということは皆様もすでにご存じかと思います。

幹細胞コスメが大人気のため、幹細胞培養液を利用したコスメのメリットやデメリット、安全性や副作用などの記事も多く見られるようになりました。

ですが、幹細胞コスメに使われているのは培養液で幹細胞自体ではありません。
では、幹細胞自体にデメリットはないのでしょうか。

幹細胞のメリットについてはすでにご存じかと思いますので、今回は幹細胞のデメリットについてご説明したいと思います。

ということで、幹細胞のことを色々調べてみました。
幹細胞自体、医療業界で最先端研究事項として行われているため、幹細胞のことを詳しく解説しているサイトはたくさんありました。

「幹細胞は…成体幹細胞が…ES細胞…最終分化細胞…」
いったいこれは何語?というほど、とにかく「難しい!」「わけがわからない!」と感じました。

「これでは医学のことを知らない私のような素人には理解不能だ…」

と思ってしまいましたが、幹細胞コスメや幹細胞エステなど身近なところで使われている幹細胞にどのようなデメリットがあるのか知りたいという方は多いと思います。

そこで、あらゆるサイトや正式な情報源を熟読して、幹細胞にどのようなデメリットがあるのかを調べ、なんとか理解することができました。

一般の人でもわかりやすく、難しい専門用語を極力使わず解説したいと思います。
専門用語を使う時は必ず説明を入れますので、わかりやすくなるかと思いますので参考にしてください。

幹細胞は再生医療の希望の光

今、医療業界では再生医療の研究が進んでいます。
再生医療を簡単に説明すると、ケガや病気をした時に本来人間の持っている再生能力で修復できるものが、修復できなくなった時に幹細胞の持つ再生能力を使って治療する方法です。

例えば、転んで膝を擦りむいたとしても、かさぶたができ、傷は回復していきます。
風邪をひいても1週間もすれば回復します。

これが人間の持つ再生能力なのですが、加齢とともに免疫力の低下や再生能力の低下が起こり、壊れてしまった細胞を自分の力で修復できないこともあります。
また、生まれつき修復する力を持っていない場合もあります。

そんな時に希望の光となっているのが「幹細胞を利用した再生医療」なのです。

人体には様々な幹細胞があり、それぞれの種類によってそれぞれの細胞を生み出すことが可能です。

例えば、神経幹細胞からは神経細胞が作られますし、造血幹細胞からは白血球や赤血球、リンパ球などの約10種類に及ぶ血液が作られます。

このように、幹細胞は失われた細胞や機能を回復させることができるのです。

この幹細胞を利用すれば、治療法が確立されていない不治の病に苦しんでいる人や、なかなか回復しないケガの治療に役立つのではないかと研究が進められているのが再生医療なのです。

幹細胞は体の中に存在しているものと人工的に作られたものがある

幹細胞はコスメで人気が出たため、コスメのために作られたと思っている方がいるかもしれませんが、元は医療の世界で注目を集めたものです。

医療の世界で注目されている幹細胞の再生能力を化粧品に活かすことができればと作り出されたのが幹細胞培養液を使った幹細胞コスメです。

ですので、コスメより以前に幹細胞は注目されていたのですが、注目されている幹細胞にも種類があり、大きく分けると人体に自然な形で存在する幹細胞と、人工的に作り出された幹細胞があります。

この2種類の幹細胞は役割やできることが全く違い、デメリットも変わってきます。
まずは、2種類の幹細胞についてご説明していきましょう。

体の中に存在している幹細胞の培養液が幹細胞コスメとして使われる

まず一種類目の幹細胞は「成体幹細胞」と呼ばれ、人体に自然な形で存在している幹細胞になります。
幹細胞は細胞の元と言われていますから、それぞれの役割を持った幹細胞がいます。

先程少しお話ししました、神経細胞を生み出す神経幹細胞も幹細胞の一種ですし、あらゆる血液を作る造血幹細胞も幹細胞の一種です。
そのほか、上皮幹細胞や脂肪幹細胞などがあり、コスメに使われている幹細胞培養液が抽出されるのは、脂肪幹細胞となります。

脂肪幹細胞は一番アレルギー反応が起こりにくいという理由で研究などに使われることが多く、その培養液を利用したのが幹細胞コスメなのです。

この成体幹細胞は壊れたしまった細胞を修復したり、再生する機能を持つため、再生医療に使うことができないかと研究されていますが、メリットは多く問題点が一番少ない幹細胞です。

ただ、なかなか再生医療として実現しない大きなデメリットがあります。

成体幹細胞のデメリットは後程詳しく解説しましょう。

人工的に作られた幹細胞がES細胞やiPS細胞

体内に自然に存在する幹細胞を成体幹細胞と言い、コスメやエステ、美容外科などに利用されているものですが、人工的に作られた幹細胞と聞いてピンと来る名前がある人はいませんか?

ノーベル賞を受賞したことで話題になったiPS細胞や、受精卵から作り出されるES細胞が人工的に作られた幹細胞として有名です。

これらの細胞は多分化細胞と呼ばれ、どんな細胞になることもできます。
これだけでも大きなメリットで、不治の病と言われる難病は、どの細胞が病気になっているのかわかりません。
ですが、ES細胞やiPS細胞ならどんな細胞にも分化でき修復・再生することができるので再生医療の大きな希望となっています。

ES細胞は、受精卵から作られるので、全て人口的かと言われるとそうではなく、受精卵から胎児になるまでの間を「胚」と言いますが、この「胚」という状態から取り出して作られます。

ES細胞のメリットは先ほどお話しました、多分化ができるためあらゆる臓器や組織になり、再生・修復することができますし、無限に増殖できるのもメリットの一つです。

iPS細胞は成長した人の体の皮膚や血液などの細胞から作り出されます。
ES細胞同様に、多分化できる細胞ですのであらゆる臓器や組織になり、無限に増殖できるところまでは同じです。
そしてさらに、iPS細胞は自分の細胞(皮膚や血液)を使って治療を行うことができるので、自分の細胞を使った場合は拒絶反応が起きる可能性が極めて低くなります。

こうしてみると、ES細胞もiPS細胞もメリットが大きく、特にiPS細胞に至っては再生医療で問題となりやすい拒絶反応が出にくいわけですから、すぐにでも再生医療のために実現されても良い治療法に思えます。

ですが、成体幹細胞、ES細胞、iPS細胞共になかなか実現されない理由があります。
それが、それぞれの幹細胞が持つデメリットです。

体の中に存在している幹細胞(成体幹細胞)のデメリット

人体に自然な形で存在する成体幹細胞は特に大きなデメリットはなく、自分の細胞を使えば拒絶反応は起こりにくくなりますし、他の人の幹細胞を移植しないのであれば他の病気に感染する心配もありません。

ですので、再生医療に一番使われる可能性が高いと思われる成体幹細胞ですが、再生医療として実現できない圧倒的なデメリットがあります。

それは、成体幹細胞は特定の細胞にしか分化できないということです。
つまり、人工的に作られているES細胞やiPS細胞は多分化とすることができるので、様々な細胞になり、修復したり再生することが可能です。

ですが、成体幹細胞は特定の細胞にしかなれないため、それぞれの箇所の修復や再生しかできないのです。
簡単に言えば、白血病を治したいとなった時に脂肪幹細胞を使っても意味がなく、造血幹細胞を使わなければならないということです。

それぞれの幹細胞は、それぞれの箇所の修復や再生しかできないので、不治の病と呼ばれている難病を治すには、どの細胞を修復・再生しなければならないのかを突き止めなければならないわけです。

成体幹細胞が多分化できるようになり、どの細胞にもなれるようになればまた違う未来が見えるのかもしれません。

人工幹細胞であるES細胞やiPS細胞のデメリット

では次に、人工的に作られた幹細胞「ES細胞」や「iPS細胞」のデメリットについて解説していきましょう。

まずES細胞は受精卵から胎児になるまでの「胚」という状態のものを使うという説明をしました。
この段階でお気づきになられた方もいらっしゃるでしょう。

「命のあるものを壊して細胞を作るの?」
と思われるはずです。
いくら治療のためとはいえ、命を奪ってよいものなのかという倫理的なところで大きな問題となっています。

ただし、ES細胞に使われている「胚」は不妊治療などで採取され、必要なくなった受精卵から作られるので、いわば廃棄される受精卵を再利用していることになります。

とはいえ、受精卵は「受精」しているわけですから命のあるものです。
それを無視して研究に使うこと自体、大きな問題になっているのです。

この問題は世界的な問題となっており、アメリカでは国から研究費を出さないということになりましたし、韓国ではES細胞の研究は大量の受精卵が必要だということを知っている人たちが卵子の売買を行うなど、世界的な問題となっています。

さらにES細胞は再生医療に使える段階にまで技術が到達していません。
細胞や組織・臓器まで分化する技術が十分でないと腫瘍を形成する原因になったり、細胞が奇形になったりしますので治療方法として採用することはできません。

また、大量の受精卵が必要ということは安定した供給ができませんし、他人の受精卵を使用するため拒絶反応が起こる可能性もあります。

次にiPS細胞ですが、iPS細胞はES細胞に比べデメリットが少なく、再生医療の実現に一番近いのではとも言われています。
ですが、iPS細胞が持つデメリットはとても大きく「ガン化の可能性」があるのです。

iPS細胞を作るために使われる遺伝子は4つあるのですが、そのうちの一つ「c-Myc」という遺伝子が「ガン遺伝子」であること、そして遺伝子を入れる際にウイルスを使っていることがガン化の原因と言われています。

ガン遺伝子を使っているからガン化の可能性があるということはわかりますが、「ウイルスを使うから」というのは理解しにくいと思いますのでご説明しておきましょう。

遺伝子を入れる際に使われているウイルスは「レトロウイルス」なのですが、このレトロウイルスは遺伝子を入れた近くの遺伝子を異常活性化させてしまい、それがガン化につながってしまうのです。

つまり、異常活性化した遺伝子がガン細胞の増殖を加速させてしまう遺伝子だった場合、ガン細胞は増殖を続けガン化につながるということです。

ほかにも、体細胞を完全にプログラム化する技術も未熟ですし、ES細胞同様に特定の組織や細胞・臓器に分化する技術も未熟ですので、これらの問題が解決しなければ再生医療として実現することはできないのです。

ですが、これらの再生医療が実現すればパーキンソン病やアルツハイマー病、白血病や筋ジストロフィーなどの難病、様々な病気や疾病の改善に大きな影響を与えます。

そのため、幹細胞を使った研究は世界中で行われ、難病に苦しむ人たちのために少しでも早く実現したいと日夜努力しているのです。

幹細胞のデメリットについてのまとめ

今回は少し難しいお話になりましたが、幹細胞を利用したコスメやエステ、美容外科手術を受けるなら知っておいて損はない情報です。

ですが、勘違いしてはいけないのは幹細胞コスメや幹細胞エステは幹細胞そのものを使っているわけではないといことです。

どちらも培養液を使用していますが、幹細胞と幹細胞培養液は根本的に違い、幹細胞培養液にはこれまでお話した幹細胞のデメリットに関する心配はありません。

それより、医療業界でこれだけ研究努力を積んでいる幹細胞をコスメやエステ、美容外科手術で利用できるということが、どれだけアンチエイジングに躍進したかということです。

これまで実現できなかったアンチエイジング効果が期待できるコスメや美容外科手術が生まれたわけですから、美を追求する女性にとってはとても素晴らしいことではないでしょうか。